ペコさんくれろ

育犬日記@黒柴ペコ

せつな咬み

先日の本家ブログ記事を読んで、
ずっと考えていました。

咬んできた、おやつをあげ続けると強化するでしょうか? 私は社会化のドッグトレーナー

ペコはまだ咬みます。

その咬みは、お手入れが嫌とか、物を守る・・・そういう種類のものではありません。



もっと遊びたい。
もっと甘えたい。


おもちゃを持ってくるようになりました。
2歳を過ぎた今になって、
ようやく自分から意思表示できるようになってきたんです。


お母さん、遊ぼ♪
おもちゃを咥えてきます。

でも、そこから本犬自身、どうしたらいいのかわからない。

持ってきたおもちゃで、
私が引っ張りっこに誘ってみたり、
投げてみたりしますが、
少し遊ぶと、手を咬んできます。


この「咬む」というのが、どれくらいの強さなのか・・・。

血は出ません。
薄皮はめくれます。
みみず腫になります。
青あざが残ります。

これは、「たいした咬み」に入るのか、入らないのか。
ただ、ガウガウ言って咬んでくるので、
第三者から見れば、激しく攻撃を受けているように見えるでしょう。


無言、もしくは「しないよ。」と静かに言って、
遊ぶのをやめていました。
そうすると、ひとしきり暴れまわって、
とりあえず、静かにはなります。


なるんですけれど・・・。
でも、何かが違うような気がしてならない。
これが、どうしてもわからなかったんです。


この仔は、何を求めているんだろう・・・。


上にリンクした、本家ブログの一説

自分のもどかしさを歯を使って表現してしまう。
それは毎日の暮らしの中で
歯を使うことが、ではなくて
もどかしさが募っているからではないかなぁと思うのです。
間違った歯の使い方を直す場合に、
歯を使わないように教える、ごほうびを取り上げるということが
意外に矯正力がない理由は・・・
もどかしさがそのままだからなのではないかと思うのですね。
人間がその犬の欲求についての不理解が土台にあるままだから。

わがままで咬んでいう事を聞かそうとしている。
よくそう言われるケースが多いですね。
でもそうかな?
咬んでいる時にはもうすでに
欲求はどこかに行ってしまっているんですよね。
欲しいものは本当に欲しくはなく、
ただ自分の鬱積した感情をぶつけているのではないかと思います。


人を咬むのはNGです。


でも、咬みは、犬にとっての何らかの意思表示だと思うのです。
確かに、咬まれたらその場を去ったり、
相手にしない。反応を返さない。というのも、
咬みはNGであることを伝える方法なのかもしれない。

でも、それは、犬と飼い主の固い絆が結ばれていてこそのものではないでしょうか。




あなたがいくら咬んだって、私はあなたの元から消えたりしない。


この記事を読む少し前から、
咬まれた時に、そのまま手を引っ込めず、
「どうしたの?」静かに言うようにしていました。


ペコはガウガウ文句を言いながら、
薄皮がめくれるくらいの勢いで咬んでいるので、
そんな時に静かに「どうしたの?」と言ってる私は滑稽でもありますが(笑)


そうすると、すっと離すんです。口を。


パピーの頃から、甘噛みが激しかったので、
咬みを誘発しないように、興奮させないように、
ずっと激しい遊びを避けてきました。

だから、静かにしていることが多かった。

そんな仔が、やっと自分から遊びに誘ったり、
甘えたい気持ちを出せるようになってきた。

そんなもどかしい気持ちで咬んでくるのに、
それを受け止めもせず、立ち去っていいのでしょうか?


私は、立ち去りたくはない。
この仔の気持ちを受け止めたいんです。


咬みを肯定しているのではありません。
それは、決してない。
咬みはNGなのです。


でも、その前に、この仔のもどかしさを受け止めて、
何をされたって、お母さんは揺るがないんだよ。

それを伝えることが先だったんじゃないか・・・。


甘噛み期を十分に受け入れられなかったこの仔は、
今、それをやりなおしているんじゃなかろうか・・・。


ヴーヴー文句を言いながら、咬んでくるペコを見ていると、
それすらも愛おしく思えてくるんです。


「せつな咬み」


この咬みを乗り越えたときこそ、
はじめて私を信頼してくれる気がするのです。