認知症で車椅子でも旅行に行けた ~後編~
さて、2日目。
朝食の前にスタッフさんが部屋へきて、
血圧や、体温を測り、そして、着替えもしてくれました。
朝食も前日と同じように、食に貪欲な母(笑)
お粥の器を自分で持ち、スプーンで口へと運んでいました。
カリポリとした歯ごたえのするものが好きな母。
お漬物、美味しそうに食べてたなぁ♪
◆バリアフリーじゃなくても
2日目はお寺へお参りに。
ここでは、バリアフリーのはずが、そうでなかったらしく・・・。
スタッフさん、ちょっと旅行会社に怒ってました。
参道は石畳で、坂道。
車椅子で上がっていくのは難しそう。
それでも、せっかくだから途中まででも・・・と、
一列になって車椅子で上がりました。
私も途中、少しだけ押してみたけど、無理、無理。
重いし、段差で止まるし、そもそも車椅子押したことないもんね^^;
参道の脇にあったお守りを売るお店の店員さんから、
ここから上は車椅子では無理ですよ。って声をかけられた。
みんながっかりしつつ、けれどもすぐに気をとりなおし、
記念写真だけ撮って引き返しました。
若くてハツラツとしたスタッフさんたち。
介護って暗いイメージがあったり、
インパクトのある事件などが取り上げられるから、
不安になる人も多いのかもしれないけど・・・。
若いスタッフさんたちを見ていて思わずつぶやいた。
未だに施設に入ることを不幸な代名詞くらいに考えてる人がいそうだけど、今時の施設はイメージ違うよ。
— ペコ母 (@peko0421) 2016年10月24日
ホント、自分の目で確かめた方がいい。
スタッフさんたち、若くてハツラツとしてる! pic.twitter.com/nFbkCphW1q
そして感心したのが、
スタッフさんたち若いからか、切り替えが早いこと、早いこと!
バリアフリーでないことを、いつまでもブーブーと文句言ってない。
そういうところ、私も見習わなくちゃ。
◆「ありがとう!」
若いスタッフさんがウンウン言いながら車椅子を押してくれて、
ようやくバスへ戻ってきたとき、
母の口からはっきりと「ありがとう!」と聞こえたのです。
「今、ありがとう!って言ったね!」
スタッフさんと顔を見合わせたよ。
介護の仕事って、
人から感謝してもらいたいから。人のためになる仕事がしたいから。
そんなことだけじゃ続かない仕事だろうな。
でも、たぶん母の口から出た「ありがとう!」は、
スタッフさんにとっても、きっと嬉しかったと思う。
結果としてこういうのがあるから続けられる仕事でもあるんだろうな。
この旅行に行く前は施設に入ってる母のこと、
可哀想とか、でもいたしかたない。って心のどっかで思ってた。
だから、旅行に行って良かった。
家族だけじゃなくて、沢山の人の手によって母は支えられているんだね。
うん。母は幸せものだ。
◆ユマニチュード
この旅行に行く前、母をうまくサポートできるか心配で、
ユマニチュードの入門書に書いてあることを頭に叩き込んでいた私。
実際は、ほとんどできなかったんだけど^^;
アウトプットしとかないと、忘れちゃうからしとこう。
— ペコ母 (@peko0421) 2016年10月25日
あんだけユマニチュードって言ってて、ほとんどできなかったけど(^◇^;)
目線を掴む。目線を捉える。には、かなり手ごたえ感じた。
どうせ言ってもわからない。と諦める前に、しっかり目線を捉えて真摯にお願いするってどうだろう?
母の場合は、それでスーッと落ち着く時もあれば、知らない!とか、わからん!とかキツイ口調で返ってくることもあれば、じっと見つめ返すだけの時もあった。
— ペコ母 (@peko0421) 2016年10月25日
いずれにせよ、何かしらのフィードバックはかえってくるんだよねぇ。
認知症って、何もわからない・・・って言うけど、
本当にそうなのかな?
わかる、わからない。という理解の面で言えばわからないのかもしれないけど、
感じる、感じない。という感覚の面は失われていないと思う。
優しい声、優しい手、優しい目線。
それを持つ人が「真摯にお願い」していることは、
きっと感じてくれる。そう思うんだよねぇ・・・。
◆旅行がもたらしたもの
1泊2日のバス旅行も終わりが近づき、施設へと帰るバスの車内。
行きのバスでは、ほとんど眠っていた母が、
帰りのバスでは、車窓をぼんやりと眺めていました。
そして、時折「おとうさん!」と後ろの席に座る父に呼びかけていました。
行きでは反応があまりなかった母が、
帰りには、自分から外界に働きかけるようになっていたのです。
母の中に何かしらの変化があったのかな。
不安でいっぱい。でも、なんとかなるさ!と自分に言い聞かせていた旅行。
母だけでなく私にも、何かしらの変化をもたらしてくれました。
うまく言葉にできないけれど、大きな何かを。
◆次男の奮闘
施設に到着すると、私は母にお別れし、
すぐに駅へと向かい、新幹線に飛び乗りました。
その日のうちに自宅へ帰らないと。翌日には仕事があるからね。
新幹線で次男からLINEがきました。
そうこうしてたら、次男からLINEきた!
— ペコ母 (@peko0421) 2016年10月25日
雨降っちゃった時のことなんて言っておかなかったから、どうするかな?と思ってたら、自分で判断してカッパ着せて散歩行ったらしい。
カッパの着せ方よくわかったなぁ。
そして、疲れたー!って(笑)
2人ともよく頑張った! pic.twitter.com/8Z98XavtDy
その後、また次男からLINEがきた。
— ペコ母 (@peko0421) 2016年10月25日
ペコ、イライラしてる。
勲章もらった。って。
あー。噛まれたんだな。って、すぐにわかった。
どうやら、雨で濡れたペコの身体拭いて、部屋に入れたら、
— ペコ母 (@peko0421) 2016年10月25日
クッションと格闘してフラストレーション的に次男にガウガウきたらしい。
これは時々あることで、転嫁行動なのだけど、受ける時に噛まれないコツがあるのよね(^◇^;)
次男はモロに受けちゃったんだな(^◇^;)
カッパ着せられて、ちょっと不満げな顏のペコと、勲章手に入れた次男。
次男もペコも、本当によく頑張りました。
ありがとう。ありがとう。
◆エピローグ
そんなこんなで、私にとっては沢山のことを得られた旅行になりました。
その中でも、
プロの方々の介護を丸2日間そばで見られたのは、大きな収穫でした。
そしてね、1番に感じたのは、介護って優しさだけじゃない。ってところだな。優しいのはもちろんそうで、もうそれは当たり前にあることで。けど、それがあるからこそ、しなければならないことに関しては、不安や苦痛を最小限(もしくはなし)にできるような技術が必要なんだ。
— ペコ母 (@peko0421) 2016年10月25日
どんなことでもそうだけど、技術って大事だ。
介護するすべての方々に、ありがとう。って言いたい。心から。
そして、雑感へと続くー